“鳴く虫”専門店 〜鳴く虫処 AkiMushi 〜

 

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その他用語集

ここでは、学術用語の他、飼育に関する用語等、鳴く虫に精通する言葉を紹介いたします。ショッピング画面等で分からない単語があった際にご利用いただければと思います。


隠蔽種 〔いんぺいしゅ〕

これは生物学では普通に使われる単語です。姿形がよく似ていて、最初は同じ種類と考えられていたが、詳しく調べてみたら別の種類であったというのが、隠蔽種となります。国産の鳴く虫ではそのようなケースがとても多く、例えば比較的最近まで、エンマコオロギと考えられていた、タイワンエンマや、ハタケノウマオイと殆ど見分けの付かないハヤシノウマオイも隠蔽種となります。これらは基本となる種によく似ているために、いままで気が付かなかったわけですから、当然、今日のこの時点でも、まだ誰も気が付かれていない隠蔽種もきっといる筈です。また、そのような種類が、これからも発見されるということは、研究者であれば、誰もが確信していることですので、時間とともに、これからも日本産の鳴く虫は種類を増やしていくことでしょう。

 ↑左はツヅレサセコオロギの♂、右はナツノツヅレサセコオロギの♂。種類は違うが外見からの判別は困難。


越冬・冬眠 〔えっとう・とうみん〕

冬眠とは爬虫類・両生類や一部哺乳類では有名な行動で、食物の少ない冬を乗り切るための手段です。それまでに蓄えた栄養分で、温かくなる季節まで、何もせずに過ごします。このとき、生理的な代謝を極限まで低下させているのが一般的で、消費するエネルギーも最小限で済ます。昆虫である鳴く虫では、一部、意味合いが異なる場合もありますが、種類により冬眠をします。ただし、冬眠と言う行動を“生理的に代謝を著しく低下させて冬を乗り切る”と定義付けるのであれば、一部種類は、冬眠ではなく“越冬”と表現したほうが良いのかもしれません。また、卵として産まれた段階が、生を授かったということになるのであれば、全ての種類は、冬眠・越冬をすることになります。

たとえば、ヘビなどの爬虫類飼育の場合では、冬眠をさせなくても、飼育・生存に何の支障も無いの普通で、繁殖などを目的としていないのであれば、冬場でも、温かくして飼育した方が、安全且つ健康的に飼うことができます。しかし鳴く虫の場合では冬眠・越冬は多くの種類で大変重要な要素となり、冬眠・越冬をしないと、成長過程で次の段階へステップアップできない種類も多数知られています。


越冬ステージ 〔えっとうすてーじ〕

鳴く虫が冬眠・冬越しするときの成長段階のことを言います。鳴く虫が冬越しをするタイミングは種類により異なります。日本産の多くの種類は、卵の状態で冬を越します。次いで幼虫の段階で越冬する種類も多く、一部成虫の状態で越冬する種も知られています。このように種類によって“越冬ステージ”が異なるわけですから、飼育の際もその種類がどの段階で越冬をするのかを知ることはとても重要といえます。


化性 〔かせい〕

  鳴く虫、その種類が〔野生で〕1年で何回の生涯サイクルを繰り返すかを表す言葉で、累代飼育を目指す上ではとても重要なことといえます。例えば、有名なスズムシやマツムシでは、初夏に卵から孵り、秋に成虫になり、卵を産み、そのまま翌年の初夏に子供が生まれるというサイクルで、年1回となりますので、1化性〔または1化〕と表現します。ヤチスズ・マダラスズなどでは、春に孵化し、その年初夏までに親となり、卵を産み、その卵もその年の秋までには、成虫となり、また卵を産みます。そして、その卵は翌年の春に孵化するといったサイクルで、これは年に2回となりますので、2化性〔2化〕と表現します。その他、3化性もありますが、3回を超える種類は基本的に多化性又は周年発生と表現します。これら化性数は、四季や年間の温度に強く影響を受けているようで、基本的に、北へ行くほど化性数は少なく、南へ行くほど多くなる傾向にあります。そのため同じ種類でも、北に生息する場合では、1化性。南に生息する場合では2化性と異なるサイクルを送る場合があります。 


産卵管〔さんらんかん〕

昆虫類の中でも、特に鳴く虫の仲間でよく発達した器官といえます。これは、呼んで字の如く、産卵に必要な器官ですので、♀のみに見られます。殆どの鳴く虫の♀で、腹部先端から、針状に鋭く飛び出た突起が“産卵管”です。卵の発育に必要な湿度が保てる地中など、より適切な場所に産卵するためにこのような形をしています。その他、植物の茎ま中に産卵する種類では、植物に切り込みを入れるためにナイフのような形状をしている種類もいます。

↑ 写真はネッタイシバスズ。青い矢印の先が産卵管。


シノニム〔しのにむ〕

 既に学名が付いている種類に、更に一つ以上の学名が付いていることをいいます。日本語では、同物異名(どうぶついみょう)といいます。生物学一般ではとても多い事故とも言える現象で、当然、鳴く虫の世界にも少なくはありません。たとえば、クマスズムシ〔S.punctatus〕に対して、南西諸島に分布するものを“リュウキュウクマスズムシ”〔S.matuurai〕として1988年に記載されたが、南西諸島産の個体もただのクマスズムシなので、リュウキュウクマスズムシは“シノニム”〔正式には後から付いた学名なのでジュニアシノニム〕となります。記載をする前に、他の地域の個体や近縁種をよく調べればそのような事故の回避できるのでしょうが中々そうも行かないのが実情のようです。また、発覚したジュニアシノニムは、抹消され、もともとある学名〔シニアシノニム〕に統一するのが普通ですが、すでに多くの文献に載ってしまったり、世間での意識に深く定着してしまうと、それも中々難しいものとなってしまいます。


 シェルター 〔しぇるたー〕

 いわゆる“隠れ家”のことを言います。割った植木鉢やコルク板・木の皮など、虫が隠れることができるものは全てシェルターと定義付けすることができます。飼育する種類によっては、シェルターの重要度は変わりますが、神経質な種にとっては必需品といえます。また、縄張り意識の強い種類を複数で飼育する場合にも、その数に合わせたシェルターを用意したほうが良いです。


周波数〔しゅうはすう〕

 一般科学でもよく使われている単語で、“音域”を表す数値のことを言います。虫の音色も周波数で表しますが、 一般的に人間の耳で聞こえることのできる周波数は20Hz〜20000Hz程度の範囲とされており、若い人ほど高周波を聞き取れるといいます。10代の人では40000Hz程度の音でも聞き取れ、70代の人では20000Hz程度の音でも聞き取るのが難しい場合もあるようです。このように、人間は年齢や個人差により、聞こえる音の範囲が違います。そのため、虫の声も人により聞こえ方が違う場合は多々ありますし、虫の種類によっては、高齢者には全く聞こえない場合もあります。もしかしたら私には殆ど聞こえない虫の声も、若い世代の人にはとても美しく聞こえるといった音色もあるかも知れません。

ちなみに、余談ではありますが、携帯電話の通話口からひろえる音はは本来、人間に聞こえる周波数よりも範囲が狭いらしいので、虫の種類によっては、どんなに大きな音でも、受話器の相手には全く聞こえないことがあり少し不思議な感じがします。 


翅芽〔しが〕  

基本的にある程度成長した幼虫に見られるもので、成虫になったときに翅になる部分をいいます。鳴く虫の種類により、翅芽の出現〔目立ってくる〕時期は違ってきますが、ある程度育たないと分からないのが普通です。この翅芽がある程度目立ってきた個体では、脱皮の直前に、翅芽は膨らみ、体から少し浮いたような感じになります。これにより、次回の脱皮のタイミングがはかれます。この特徴をよく観察していれば、大型種で複数飼育では脱皮が難しいキリギリスやクツワムシなどでも、脱皮の直前に別のケースに移すなどをして、失敗のリスクを減らすことができます。

  ↑ 右側の個体は“翅芽”が膨らみ、脱皮が間近なのが良く分かる。両個体とも終令幼虫のヒメコガタコオロギ
 促織 〔そくしょく〕

 コオロギの古い呼び名です。もともとは中国語に由来しているようで、同じく中国でも古くはこのように呼ばれていました。古い時代から、冬が近づくと、コオロギは暖を求め、人家に侵入してきたのでしょう。そこで、玄関先など、人家内で盛んに鳴くコオロギの鳴き声を聞いて〔もうすぐ冬が来るから〕“早くはたを織れ・早くはたを織れ”と鳴いているようにたとえたからというのが、語原らしいです。その他にも古来のコオロギには、“紡績”“趣織”等々さまざまな呼び名がありましたが、その殆どは冬支度の一環である、機織り〔はたおり〕に関係する呼び名だったそうです。


短翅型・長翅型〔たんしがた・ちょうしがた〕

鳴く虫は、同じ種類であっても、個体により、翅の長さが顕著に違う場合があります。標準的な個体より極端に翅が短い場合を“短翅型”。逆に極端に長い場合を“長翅型”と表現します。このように、同種内でタイプの異なる個体が出現するのには、何らかの理由があるのは確かです。種類により、その理由や目的が異なることもあるとは思いますが、基本的に、長翅型では飛翔力が格段にアップするというメリットがありますが、飛翔には膨大なエネルギーを消費するため、後の産卵に支障を来たすといわれています。逆に短翅型は、全く飛翔ができない代わりに、その分産卵にエネルギーを費やすことができるといわれていのます。〔ただし、もともと全く飛翔をしない種類で長翅型が見つかっていないにも関わらず、短翅t型のみ出現する種類もいますので、このようなケースでは、どの様なメリットがあるのかよく分かりません。〕

ヒバリ類やスズ類では、かなり高確率で長翅型が出現しますが、限られた生息地内で、個体数が急激に増えた場合などにその傾向が強いようです。このとき、一部の長翅型の個体は、その飛翔力を生かし、新天地へ移動し、新たに子孫を増やすことができます。この戦略により、万が一、元の生息地で、伝染病の流行・天災が発生しても、絶滅は免れますし、そのようなことが起きなくても、食糧難の回避とともに、分布域を増やすことができます。もっとも、いかに長翅型といえど、神風的要素が強く、たどり着いた先で、繁栄するには、様々な偶然が重なり合う必要がありそうです。


 発音器〔はつおんき〕

鳴く虫が音を出す器官です。皆さんお気づきだとは思いますが、鳴く虫の発音器官は通常、成熟した♂の翅にあり、この翅を擦り合わせて音を出します。そのため多くの種類で♂と♀では翅の形が違い、おのずと雌雄で外見が違って見えます。そのため、♂でも発音器を持たない、ヒバリ類の一部や、ハネナシコオロギなどでは、♂、♀の姿はそっくりとなります。その他クダマキモドキの仲間などでは、例外的に♀にも発音器があり、鳴くことが知られています。

スズムシの発音器の顕微鏡写真〔ギザギザの部分がバイオリンでいう弦の役割をはたします〕

鳴く虫はこの発音器を使って音色を奏でるわけですが、原理としては、バイオリンと同じです。、発音器を持つ♂の翅はよく見ると、複雑な凹凸があることを確認できます。このように、原理はとても単純ですが、この翅を使って、人間が音を出すのは至難で、死んでしまった♂の翅を拝借して、幾度となく挑戦しましたが、まるで、高い音が出せません。微妙な角度や方向・力加減など、やはり、その翅の持ち主にしか使いこなせないのでしょう。


本鳴き・誘い鳴き・争い鳴き〔ほんなき・さそいなき・あらそいなき〕又はそれぞれを“ひとり鳴き”・“くどき鳴き”・“おどし鳴き”と言い換えることも。

 これは鳴く虫の鳴き方表現です。鳴く虫の音色は、我々人間で言うところの、“言葉”と同じ意味合いのもので、同種に意思を伝えるために発達した能力です。そのため、種類によっては複数の鳴き声を上手に使い分けることが知られています。コオロギ類では、特にエンマコオロギが顕著で有名です。一般的に聞こえる声が、本鳴き〔ひとり鳴き〕で、“コロコロリーリーリーリー”と鋭くとおった声で鳴きます。これは、自分の位置を他個体に教えるための音で、同姓にはテリトリーの誇示と異性には誘い込む効果があります。次は、誘い鳴き〔くどき鳴き〕で、“コロコロリーコロコロリー”と控えめの音量で、優しげに鳴きます。これは、♀がすぐそばにいるときの、交尾の申し入れで、いわゆるプロポーズとなります。他、争い鳴き〔脅し鳴き〕があり、キリキキリキリりなどと激しく、やや複雑な声の鳴き方もあります。これは、縄張りに♂が進入してきた場合や、♀の奪い合いの時などに使う音です。さらに、戦いに勝利したときの“勝ち鬨”などもあります。このようにエンマコオロギのように、明瞭に使い分けできる種類ばかりではないですが、多くの種類が幾つかの鳴き声を持っていると思います。

この他、♂のテリトリー進入や♀へのプロポーズと言った、他個体が鳴き声に変化をもたらす以外にも、種類により温度や時間帯により鳴き声が変わるものも多数知られています。このように鳴く虫達の多くは、状況により多少なり鳴き方に変化が見られますので、これら“鳴きの差”を感じ、発見することも、大きな楽しみの一つと言えるのではないでしょうか。


 緑色型・褐色型 〔りょくしょくがた・かっしょくがた〕

鳴く虫は、同じ種類であっても、個体により、体色翅が顕著に違う場合があり、この違いを緑色型・褐色型など、“〜色型”と表現します。時に、赤色型などの色彩型の出現が知られる種類もありますが、基本的には緑か褐色〔茶色〕の何れかとなります。この色彩による型は、種類により出現頻度や有無は様々で、特にクツワムシでは有名で、緑の個体と茶色い個体が入り混じっているとこにお気づきの人も多いと思います。その他、キリギリスやツユムシの仲間・カンタンなどでも有名です。このように色彩に2型以上の型がある種類は多数知られていますが、出現のメカニズムは種類により違いがあるようで、例えばクツワムシの場合では、後天的に作用しているらしく、生まれてから、ある程度まで成長するまでに、育った環境により左右するようです。他、遺伝的による2型や、もしかしたら、卵の段階や、親生活に作用して変化する種類もいるかも知れません。

写真はクビキリギスの成虫。性別・産地共に同一ですが、色合いは顕著に異なる。


 とりあえず現在までに気が付いた用語のみ説明させていただきました。これから、新たに気が付いた用語・ご質問があった用語などに関しましては、その都度、随時更新していきたいと思います。


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