“鳴く虫”専門店 〜鳴く虫処 AkiMushi 〜

 

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ホーム繁殖の基本〔産卵場所と孵化〕

繁殖の基本

             産卵中の虫達  鳴く虫の多くは、繁殖・累代飼育が可能で、スズムシなどでは上手に飼育している人では、10年以上累代を続けている人もいます。一般的にスズムシの累代は容易といわれていますが、それは、繁殖方法が確立し、良く生態が理解されているからとも言い換えることができると思います。他種の鳴く虫に関しても、生態をより深く理解することが、繁殖への一番の近道となりますが、中でも特に重要な要素といえるものに、越冬ステージ・発生回数〔化性数〕・産卵場所の3つがあります。まずはそれを順を説明させていただきます。


 越冬ステージとは?
1つ目の越冬ステージについては、越冬〔冬眠〕をどの段階でするか?です。鳴く虫は種類によって卵であったり、幼虫の状態であったり越冬をするタイミングが決まっており、それぞれ異なります。これを“越冬ステージ”といいます。そして、その越冬を体験することにより、次に気温が上昇したときに、休止状態だった体内でスイッチが入り、次の段階へ成長することができます。つまり、種類別で、卵・幼虫・成虫の何れかの状態で、冬の到来と春の訪れを体験させる必要があるということです。例えば、越冬ステージが幼虫の種類に対して、冬場を高温で飼育し続けると、体内のスイッチの切り替わりができず、いつまでたっても成虫へなることができません。もちろん卵の場合でも同じことが言え、種類によっては、冬を体験させないと、卵から孵りませんので、これを知ることは繁殖を目指す上での必須といえます。

 発生回数〔化性数〕とは?
これは、先に説明させていただいた越冬ステージにも関わりを持ちます。発生回数とは、その種類が、1年間で何回、生涯サイクルを繰り返すか?です。これを“化性”といいます。スズムシの場合では、年間で1回発生し、翌年の同じ時期までは出現しないので、“一化性”と表現します。国産種の多くは一化性となります。次に多いのは2化性の種で、これにはキンヒバリやヤチスズなどが含まれます。2化性種は基本的に、初夏と秋に発生します。初夏に発生した親から生まれた子供が秋には成虫になり卵を産み、その子供か翌年の初夏に成虫として発生するといったサイクルになります。ここで問題になるのが、2化性種の越冬ステージです。秋に発生した親が産んだ卵は、そのまま冬になるので、卵で越冬をしますが、夏に産んだ卵は、越冬を経験しなくても、卵から孵り、秋には成虫になります。要するに、秋に発生する個体は越冬を経験しません。では、秋に産んだ卵を越冬させないで暖めて管理すると、ちゃんと孵るのかというと、そうではありません。このような2化性の種類は、親の体感した日照時間で、産んだ卵に、越冬が必要かどうかが決定します。夏に成長しその日照をすごした親から生まれる卵は越冬の必要がなく、夏の終わりや秋に成長した親から生まれる卵には越冬を体験させないと孵化しないのです。そのため、このタイプの虫は、親を入手した時期によって、孵化のさせ方に違いがでるので、注意が必要です。次は、更に発生回数の多いタイプです。2化性以上の種は、基本的に越冬の必要がないのが特徴で、年中いつでも発生が可能です。そのため、何回かと具体的な数字で表せられないことが多いので、このタイプを“多化性”といいます。多化性の種は国内では、南西諸島に生息する種など、四季のメリハリが弱い地域に多く見られますが小数派です。多化性種に越冬の必要が無いということは、年間を通して、同じ温度で飼育しても全てのステージで問題なく成長するので、最も繁殖の容易な種類といえます。ペット爬虫類の餌として利用されている、フタホシコオロギやイエコオロギもこのタイプに属します。

 産卵場所
3つ目に知っておかなくてはならないことの“産卵場所”についてです。当然これを知らなければ、多くの種で繁殖は困難となります。スズムシが砂や土の中に卵を産むというのはあまりにも有名ですが、種類によっては、朽木の中や生きた草の中に産むなど様々です。しかし、産卵場所にはある程度の傾向があり、その種が最も日常的に活動している場所が産卵場となるケースが多いです。先ほどのスズムシもそうですが、コオロギ類など地表にいることが多い種はやはり土の中に産卵するのが普通で、よくヨモギが群生しているところで見られるカンタンも、ヨモギの茎に産卵します。そのため、産卵場所がどうしても分からない場合は、捕まえた場所や自分で捕まえた場合でなくてても、図鑑などに載っている生息場所を手がかりに、いろいろと試してみると、意外と簡単に産卵することがあります。ただし、スズ類などの一部は野生下では、土の中に産卵するけど、飼育下では、人工的に用意した産卵場所“産卵棒”の方が良く産むといったケースもあります。

これら三つの要素を種類別で表にしてみます↓

種類名 越冬 化性数 産卵場所 その他
エンマコオロギ 卵  1  砂や土  近縁種のタイワンエンマは幼虫越冬 
クロツヤコオロギ 幼虫 1 砂や土 南西諸島では2化の可能性あり 
ツヅレサセコオロギ  卵  1  砂や土   
スズムシ  卵  1  砂や土   
タンボコオロギ 幼虫 2 砂や土 産卵棒の方がやや効率がよい

カマドコオロギ

不要 多  砂  全てのステージで越冬可能 
フタホシコオロギ 不要 砂や土  
マツムシ 枯れたイネ科植物の茎  
キマダラマツムシ  卵  1  朽木  アジサイの茎にも産むらしい 
アオマツムシ 生きた広葉樹の幹  
カンタン  卵  1  キク科・マメ科植物の茎   
マダラ・シバ・ヤチスズ 2 土・産卵棒 東北などでは1化性となる。
クサヒバリ  卵  マメ科植物など生草の茎   
キンヒバリ  幼虫 

イネ科・マメ科植物の茎  亜熱帯などでは2化性となる 
カネタタキ 1 朽木・アジサイの茎など  
キリギリス 1  
クビキリギス 成虫  イネ科植物の葉の隙間   

  産卵場所のあれこれ

 カップに入れた鈴虫マットと産卵棒

カップに入れたマットはコオロギ類の多くやキリギリスに適しています。産卵棒はスズ類や、ヒメコオロギなどの小型地上性種に適しています。産卵棒の作り方はこちら

 左から、アジサイの枝・甲虫用クヌギの産卵床・スダジイを乾燥させた幹

朽木などに産卵する種に利用します。特に木化したアジサイの枝は芯がスポンジ状で産卵しやすいらしく多くの虫に人気。樹木の幹は朽木化しているものを利用しますが、一度良く乾かして、発酵を止め、その後十分に水分を含ましてから使用します。

ヨモギの生木とイネ

ヨモギはカンタンを始めヒバリ類の産卵にも使えます。なるべく幹が太いものがよいです。イネはマツムシ・ツユムシ類・クサキリ類に利用しますが、その他、ススキやムギなどもよい産卵床になります。マツムシに使用する時は枯れ草が多く混じるものを選びます。

これまでに説明させていただきました3つの要素を複合させて、飼育しているケースの中に産卵床を入れることとなりますが、タイミングとしては、最初は、虫達に十分に栄養を採らせながら飼育し、ある程度の期間が経ってから産卵床を入れると効率が良いです。そうすることにより、♀は一斉に産卵床に集まり、おもむろに産卵を始めます。3〜4日経ったらとりあえずは一段落つきますので、産卵床を取り出し、産卵床ごと卵を管理します。ちなみに、種類にもよりますが、産卵が一度終わった♀達も、十分に栄養を採らせることで、再び産卵が可能となりますので、1週間ほど経ったらもう一度新しい産卵床を入れてみると良いでしょう。


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